・ 私達が中学生になって最初のころに出会う英単語の一つである know は、普段から何気なく使われるものの、その使い方の違いによるニュアンスの違いは、日本人には意外と理解が難しく、コミュニケーッションギャップの原因の一つともなっています。先ずは次の例文をご覧下さい。
(1) | A: Who is the president of the United States ? ( 合衆国の大統領は誰だか知っている。 ) B: George W. Bush is. I know him very well. He's going to run for the second term of the presidency, isn't he ? |
( ジョージ・ W ・ブッシュさんでしょ。彼の事はよく知っているよ。彼は大統領 2 期目を目指して選挙に出る予定なんだよね、 )
語句
second term :二期目
presidency :社長・大統領の職
・もしこの例文を natives が見たならば、きっと誰でも奇異に感じる事でしょう。なぜならば、 B さんはマイクロソフト社の会長のビル・ゲイツさん等の、ブッシュ大統領と個人的に面識のある有名な方の誰かであると思われるからです。
・ know の後に来るものが単語であれ、 that- 節であれ wh- 節であれ、「内容や事実」が述べられている場合は特に問題はないのですが、「 know +人」が使えるかどうかは、主語と「人」との関係がどうであるかに大きく依存するのです。
・言い換えれば、 know は「 ( 個人的に ) 良く知っている、知り合いである」と言う意味であり、面識のない場合には使うことが出来ません。もし皆さん方が、 native speakers に対して、
(2) I know Mr. Koizumi very well.
等と話しますと、 native speakers は皆さん方のことを、小泉首相と個人的に面識のある政府高官 (senior government official, top administration official, etc.) の中の一人であると思うことでしょう。
・特に個人的に面識があるわけではなく、報道で知っていたり、書物を通して知っている場合には know of 〜 [of は「〜について、関して」の意 ] を使わなければなりません。従って、 (1) も (2) も、 I know of him very well. I know of Mr. Koizumi very well. とすれば、ごく自然な英語になります。
(3) I know Shotokutaisi very well, because I majored in the Japanese history when I was a college student.
( 私は聖徳太子をとてもよく知っています。なぜならば、私は大学の時に日本史を専攻したからです。 )
・ (3) の例文も know を know of に替えなければなりません。西暦 593 年に推古天皇の摂政となり、 603 年には「官位十二階の制」の制定、 604 年には「十七条憲法」の発布等で知られる聖徳太子を know している方は、きっと自分の魂を霊界に飛ばし、聖徳太子と個人的にお話をされた方なのでしょう。
・なお、 know( 〜を知っている ) と比較的意味の近い語に understand( 〜を理解している ) がありますが、 understand は「認識の深さ」に焦点が当てられている語であるのに対し、 know は「事実としての話し手の確信」に焦点が当てられている語であることを付け加えておきます。
・それではまた次回、お会いしましょう。