■ティーチャーやぎぬまの「英語のツボ」■
    
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読者から寄せられたご意見より

日頃「ティーチャー柳沼の英語のツボ」をご愛読戴き、厚く御礼申し上げます。読者の皆様方からは早速、内容に関する疑義も含め様々なご意見が寄せられていますので、これらのご意見に沿って問題点に言及しながら、適宜加筆訂正も加えていきたいと思います。

今回はその第一回目として、リニューアル後の第 11回目の「 これは難しい!『見る、聞く』の様々な表現 (1) 」の部分と、第9回目の「様々な『選ぶ』、あなたならどの『選ぶ』を選びますか! (1) 」の 2 箇所の部分に焦点を当てて、振り返ってみたいと思います。

 

語句
see , hear , taste , smell のような 知覚を表す動詞 や understand のような 認識を表す動詞 に can をつけても全く問題ないが、 can は何の情報も加えない。

ex. I could smell something burning. ( 何か焦げ臭い臭いがした。 )
              = I smelled something burning.

上記の説明の中の ex. I could smell something burning. の和訳を「何か焦げ臭い臭いがしたぞ」と綴る予定でしたが、私の単純なミスにより、純然たる「過去」の意味で訳してしまいました。

読者の方々もご存知の通り、助動詞は「憶測、疑念、推量」等を表し、一回の出来事を表す表現ではありません。更に、 could は前後の脈絡なしに「過去」に言及する訳出も間違いですので、

ex. I could smell something burning.
に於いては、訳を「何か焦げ臭い臭いがしたぞ」に訂正し、且つ
= I smelled something burning. を削除させて戴きました。

 

(1) I ( chose, selected, elected ) Chinese rather than French.
([ 大学の教養課程で第 2 外国語を選択しなければならなかった時に ] 私はフランス語より中国語を選んだわ。 )

語句 … rather than 〜:〜よりはむしろ…

「語句」の解説部分のように、 rather than 〜に関しては、現在でも殆どの学習参考書が「〜よりはむしろ…」という訳を与えていますが、この表現は、厳密には「〜ではなく…= not 〜 but …」の意味である事が、既に多くの方々に認識されています。

この問題は、 1988 年に John G. McCaleb 氏が岩垣守彦氏との対談の形式で綴られた、「アメリカ人語 Part 2 ―微妙な、本当に微妙な英語表現」というタイトルで読売新聞社から発刊された論文の中で言及されました。多分、 rather than 〜に関する問題提起は、この論文が初めてではないでしょうか。以下に「彼は正直というよりもむしろばかだ。= He is foolish rather than honest. 」に関して、当該部分を引用させて戴きました。

『マケレーブ: rather than というのは、多くの場合には「〜よりもむしろ…」というより、「〜ではなく…だ」という感じに近くなります。この場合、「〜よりもむしろ…」という日本語のニュアンスを出すためには

 → He is more foolish than honest.の方がいいと思います。』

 

1987 年の初版から数えて第 4 版目にあたる 2003 年発刊の「 Collins Cobuild Advanced Learner's English Dictionary 」の rather than の項では、次のような説明を与えています。

(1) You use rather than when you are contrasting two things or situations. Rather than introduces the thing or situation that is not true or that you do not want. ( あなた方は、 2 つの物事や状況を対比させる時に rather than を用いる。 rather than は、真実でなかったり、あなた方が望んでいない物事や状況を導入する。 )

Cobuild の説明でも明白なように、 rather than は、 2 つの事項を比較して「〜のほうがよい」というような意味を示唆する表現ではないという事がお解りと思います。

今後とも、不定期ではあっても、今回のように読者の声を踏まえて、より有用性のある「めるまが」にしていきたいと思いますので、末永くお付き合い下さい。

 

『ティーチャーやぎぬまの英語のツボ』では毎回、かゆいところに手が届く、これぞ英語のツボ!な事柄を紹介しています。