やぎぬま塾    

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英単語・英熟語の勉強法、攻略・学習法

人間は記憶すれば、一部または全部を必ず忘却すると言う運命を背負っています。私、やぎぬまは中学時代から極端に記憶力が弱く、高校時代に学習した世界史の「フェルディナンド」と言う人物15回も忘れ、16回目にして漸く記憶に残ったと言うことも、50年以上が経過した現在でも鮮明に脳裏を過ぎります。

英単語では、conversation/カンヴァーセイション/(会話)とconsideration/コンスィダレイション/(考慮)の2語が、どちらがどちらの意味であるかが解らなくなる事が何度もあり、漸く定着するのに数週間を要しました。

上記のようなことが頻繁にあり、私は余りにもの記憶力の酷さから、高校時代には既に「脳がどこか欠落しているのではないか」と勘ぐっていました。

案の定、2019年のの7月に酷いめまいが続き、生まれて初めて脳外科で検査を受けたところ、左脳の言語中枢を司るところが空洞になっていて、ドクターには、何とか生活が成り立っているやぎぬまに対して驚かれると共に、「バランスが悪いでしょう」と慰められてしまいました。

このようなやぎぬまが、どのようにして英語の教員として「万の桁」の英単語や熟語表現をを習得して駆使できるようになったかを、記憶と忘却、短期記憶を担う「海馬」と長期記憶を担う「大脳皮質」の働きを鑑みながら以下に綴りました


          
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私は大学時代から40歳代半ばまで軟式野球に親しんできましたが、遊びや楽しみ、趣味の野球ではない世界では「100本ノック」とか「地獄の300本ノック」といった練習方法があります。人間ならずとも、疲労が極地になりますと、「最低のエネルギーで結果を求める」という本能が働きます。これは将に弱肉強食の世界の「防御本能」以外の何物でもないと考えていますが、飛んでくる、或いは転がってくるボールを最低のエネルギーで、言い換えれば最短の方法でキャッチする事を本能で学習するための肉体練習が「地獄のノック」であると言えます。

なお、以下の考えは、偏に私自身の四半世紀以上の間の教員経験を通して、多くの生徒さんと接してきた人生の結論でもあり、専門家がどのように理論展開をしているかは全く知りませんが、英語の勉強に苦労されている生徒さん方に於かれましては、是非とも、多くの学校で実施している市販の単語帳を使用した(小テスト対策の)勉強が如何に非能率であるかを認識戴ければ有り難いと思います。

「最低のエネルギーで結果を求める」ことは「最高の能率で結果を求める」事と同値ですので、勝つか負けるかが全ての、且つ、一瞬の「勝負の世界」では最も希求されるべきことであっても、長期的展望にたった地道な努力を必要とする勉強の世界では、「最低のエネルギーで結果を求める」勉強方法では決して大成しないのです。

「~英単語」等の名称で市販されている単語帳を使用して、多くの一貫校で定期定期に実施されている「単語小テスト」或いは『語彙テスト」と言った試験が実施されていますが、生徒さん方は試験の点数を取りに行かざるを得ない事から、結果的に上記に綴った「地獄の300本ノック」のような勉強を強いられているのが実情です。ただ、このような勉強では、小テストが終了した時点で、記憶した事はほぼ全て「すっからかん」になってしまうのではないでしょうか。

人間と言う動物はある事を「記憶」すれば、記憶事項は時間の経過と共に「忘却」してしまうと言う運命を辿ります。人間の記憶事項は一旦「海馬」に溜められることが既に医学的、大脳生理学的に知られていますが、この海馬に溜められた記憶は新しい記憶事項が海馬にやって来ますと、古い記憶事項が新しい記憶事項の下に潜ってしまい、全く取り出せなくなる事も既に医学的、大脳生理学的に知られています。これらの事実を眼前にし、ハイテク機器を駆使した現代医学の研究が如何に究極の段階まで進んでいるかを如実に感じる次第です。

それでは私達は「何故古い事を覚えているのか」ですが、これらの反芻可能な記憶事項は海馬に存在するのではなく、大脳皮質(最近は大脳皮質の中のどこでと言うところまで研究が進んでいます)に移動しているからであり、この大脳皮質に焼き付けられた記憶事項が神経細胞を行き来するニューロンの助けを借りて蘇るのです。

なお、一旦海馬に溜められた記憶事項は「どのようにして、いつ大脳皮質に移動するか」ですが、先ずは睡眠時、そして脳が「開放状態」になっている時に移動する事も既に知られています。言い換えれば、「明日単語の試験があるから仕方なく」単語を一生懸命に勉強しても、それは海馬に溜るだけであり、いずれは抜けてしまうと言う事です。 

海馬に記憶を溜める学習を、20分とか30分サイクルで考える事も可能ですが、特に短期記憶が悪い生徒さんは、Aと言う単語を覚えた後、Bと言う単語を覚えると、即、覚えたばかりのAと言う単語が海馬の下に潜ってしまい、取り出せなくなると言うケースさえあります。ところがそのような生徒さんでも数学が抜群であったり等で、何らかの分野で秀でており、決して頭が悪い訳ではありません。

学校で扱っている市販の単語帳を用いた勉強は、1つの単語を覚えては次の単語を覚えると言う繰り返しで、古い記憶をどんどんと海馬の下に追いやっているのです。

私は英単語を「万の桁」まで扱えますが、これらの単語一つ一つをお坊さんが唱えるお経のように、英単語1つに日本語訳を1つ(稚拙な言葉ですが)くっつけて暗記しているわけではないのです。

大学受験レベルまでの数千語の英単語も厳密に検証しますと、相当数が「同じ意味概念」の範疇に分類できますので、英単語の勉強は兎に角「同じ意味概念に属する語は、同時に(覚える、暗記するのではなく)認識する」ことが最も大切であることになります。英単語は沢山あっても、同じ意味概念に属していれば少なくとも「日本語レベル」での暗記は全く不要になります。従って、十語以上もの単語を一段階で海馬に焼き付ける事ができますので、その能率は「単品主義」的勉強とは比較になりません。

私達は日本人ですので、英単語の勉強に於いて、知らない日本語訳はほぼゼロであることから、英単語の勉強で「日本語を覚える」と言う作業自体が入ることが可笑しいとは思いませんか。

私は既に認識している英単語に、概念として相応しい日本語を持ち出して(稚拙な言葉ですが)くっつけて、あたかもその英単語の和訳を知っているかのように振舞っているだけなのです。また、生徒さんにも一刻も早くそのような力が発揮できるように、鋭意普段から語彙演習を、長文読解等が終了した後に施しています。そして、文脈を考慮して、暗記ではなく概念で理解する語彙演習で、一回の英文解釈と平行して一挙に数百語もの語彙演習を行っています。

高校2年後半の時点で、「メイク、メイド、メイド」とか「フォール、フェール、フォールン」と言った中学一年生でも扱う動詞の変化さえまともに知らず、予備校の模試の偏差値が30に満たない生徒さんでも大阪大学経済学部や慶応大学商学部まで届くのは、将に、海馬と大脳皮質の性質を鑑みた勉強が功を奏しているからなのです。

この文章を読んで頂いている生徒さん方、或いはご家庭の方々も既にご存知だと思いますが、やぎぬま塾で勉強している生徒さんは全員、「英辞郎」と言う無料ソフトのアドレスをお気に入りに入れており、適宜利用しています。これは「アルク社」が無料で提供しているものであり、医学部医学科受験生はその英文の専門性から、市販の電子辞書では到底追いつかず、どうしても170万語(表現)を擁する英辞郎が必須となっています。なお以下の例は、巷で言われている「派生語の勉強」を強調しているわけではありません。いくら派生語を勉強しても、一つ一つが「単品主義」の勉強に終始してしまえば当然ながら十分な成果は見込めません。

たとえば、この英辞郎に「進歩する、前進する」の類の語を入れて検索しますと、恐らく30以上もの表現が出て来ると思いますが、大学受験レベルで必須の単語だけでも、(括弧の部分にアクセントがあるように発音もカタカナで綴りますと)advance/アド(ヴァ)ンス/、proceed/プロ(スィー)ド/、progress/プログ(レー)ス/(この単語のアクセントは、名詞が前、動詞の場合は後ろにあります)、improve/インプ(ルー)ヴ/、develop/ディ(ヴェ)ロプ/等があります。

またこれらの単語には全て派生語や派生表現が存在し、思いつくだけでも advancement、in advance、process、
proceeding、progressive、progression、improvement、development、等極めて多数の数があります。
また、「進歩する、前進する」の逆の「後退する」の語も含めますとその数は更に増えます。

リターンというカタカナ英語がありますが、「り=re」は「戻る」の意味ですので、例えば proceed ありますと、recede/リスィード/(後退する)も意味が解ります。不景気の事を「リセッション=recession」と言いますが、この語も将にこの範疇にあります。

学校の英単語の「単品主義」的な勉強ですと、これらの重要な語彙は須らく別個に、1つずつ、しかも時間的に断続させながら勉強していきますので、上記に詳述した海馬の働きを鑑みても、如何に能率が悪い勉強であるかがお分かり戴けるかと思います。

上記の単語も、これもある、あれもあると言うように「認識」することだけでしたら、1分も掛かりませんし、語彙の学習は「暗記する」のではなく「認識する」事を繰り返して概念で理解し、直接大脳皮質に送り込むようにしなければなりません。

また、語彙は英語にしろ古典にしろ、文脈の中で理解したうえで認識して行かなければ、矢張り「暗記」のレベルから脱却できず、どうしても忘却が早くなります。

私やぎぬまは生徒さん方に対して、一本の英文読解演習を行った後には、その中で扱った語彙をベースに「同じ意味概念」の範疇に属する関連表現を同時に提供して、膨大な量の語彙演習を施しています。またこれらの地道な努力と生徒さんの血を吐くような勉強で、(上述の復唱となりますが)英語が学年で最下位(331名中331位)で模試の偏差値が30にも至らない生徒さんでも、大阪大学や慶應義塾大学にまで届くのです。

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連語、熟語、定型表現に関しても同様のアプローチで勉強を進めていきます。

やぎぬま塾の生徒さんの中に、学校では on Sunday(日曜日に)と言う表現の on は「例外である」と教わった生徒さんがいました。私はこの言葉を聴いて驚愕しました。意味論上は on には二つの意味概念しかなく、単品として使用されてもイディオムとして使用されても、私は今までにこの二つの意味概念を逸脱した表現に出会ったことがありません。結論から言えば、on Sunday は on my way home(帰宅途中で)とまったく同じ意味概念に属する on であり、例外でもなんでもないのです。なお、詳細はやぎぬままでお問い合わせ下さい。

多くの生徒さん方を悩ましている、no more than~、no less than~、not more than~、not less than~、no more…than~、no less…than~、not more…than~、not less…than~ と言う表現も、この文面を読んで下さっている方々が皆暗記するのに苦労しているのではないでしょうか。

上記の表現をよく見てください。than~は「~より」と言う意味である事は誰でも知っていますが、他の部分に目を向けますとこれらの表現は全て no/not 及び more/less しか使われていないことがお解かりかと思います。要するに、no/not 及び more/less が比較表現とどのように関係しているか、言い換えれば no/not の否定辞が「どこまで意味的に作用するか」という「否定辞の作用域」を理解していれば、膨大な量の上記の類似した定型表現の和訳を暗記する必要など全く無いのです。

私も長い間英語教員として生活してきましたので「同じ穴の狢」ですが、教育現場に携わる先生方に於かれましては、もう少し真剣に勉強してもらいたいものです。膨大な量のデータが瞬時に入手できる現在、オックスフォード、コビルド、ロングマン、ケンブリッジ 等膨大な量の勉強すべき対象物がありますし、natives が綴った文法の研究書も数多あります。毎年発刊されている英語語法文法学会の論文集に目を通すだけでも、先生方の英語の世界がまるで違うものになってくるはずです。

10年以上前になりますが、ある生徒さんから、cannot be too careful は何故、「幾ら注意しても注意しすぎることはない」と言う意味になるのか、と言う質問を受けたとこがあります。またこの質問を学校の職員室に行って英語の先生方にしたところ、誰一人として答える事ができなかったそうです。

cannot be too careful の意味を考える際に、まず too がどのような意味概念を持つかを押さえ、(can がどのような意味かと言う単品のレベルではなく)助動詞とは何かと言う本質を踏まえて、全ての助動詞を縦に貫く2本の柱である「根源用法」「認識用法」を理解していれば、「幾ら注意していも注意しすぎることはない」と言う意味にしかならないことを、(生徒さん方には解りやすく説明するとしても)何故プロの先生方が勉強していないのでしょうか。

      
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勉強は単純な「地獄の300本ノック」のような訓練ではものになりません。大学受験の英語にしろ数学にしろ、須らく「総合力」であり、概念で理解する勉強に加えて、「1プラス1」の勉強の結果を「2」ではなく「3」にも「4」にもしていく事が重要となります。またそうでないと、多くの大学で東京大学(理三以外)をも凌駕する医学部医学科までは到底届きません。

また、医学部医学科の英語は他学部以上に「雑学の力」がものをいう世界であり、生徒さん方、ご家庭に於かれましても、「机上で行うだけが勉強ではない」事を是非ご理解戴き、その点も十分に認識した勉強を心がけて戴きたく念願しております。

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ここで文頭に綴った「地獄の300本ノック」に遡及しますが、多くの学校で行っている「単品主義」の単語テストは須らく「地獄の300本ノック」と同じであり、点数を取るためにどうしても無理をして海馬に単語を焼き付けようとします。ところがこの勉強方法では、点数が取れた瞬間に(=テストが終了した瞬間に)緊張状態から開放されて勉強した内容が須らく忘却への彼方と消えてしまうのはいうまでもないばかりか、最低のエネルギーで点数を取る事を体が、そして脳が覚えてしまい、最も大切な大学受験を前にして本質的な思考が全く出来なくなってしまうことさえ危惧される事を、是非ともご認識戴いたくお願い申し上げる次第です。